2023年10月でKindle作家5周年を迎えました。5年で16冊のKindle本を書きましたので、これまでの書き方と今後の書き方について考えています。
ツェッテルカステンに憧れて
理想としているのに、なかなかうまくいかない書き方があります。
それは「ツェッテルカステン」を活用した書き方です。
ニクラス・ルーマンという社会学者は、この「ツッテルカステン」をもとに58冊の本と、数百本の論文を書いたといいます。
どちらもノートはアトミックにとるものだと主張しています。
これまでそうしてきたので、特段、驚くような主張ではありませんでしたが、それが本につながるかもしれないと思うとワクワクしてきました。
さらに、『TAKE NOTES』 では、アイデアメモ同士のつながりについて強く言及しています。
これについては、私はObsidianを使っていることもあり、かなり意識しています。
よし!
これでアイデアメモが溜まっていけば本が書ける。
そう思いながら、アイデアの断片、自分の考えの断片を書き溜めてきました。
でも、『TAKE NOTES』 でいうように本が書けるものでもない、と思うようになりました。
ツッテルカステンで本が書けない理由
なぜ、うまくいかないのか。
理由を考えてみます。
アイデアの断片が少ないからだろうか。
そう思い、ブログの記事や公開していないアイデアメモを振り返ってみると、簡単に答えが出ました。
ただただ気の向くままに書いてるからではないか。
・そのときに書きたいと思ったから書いた記事
・そのときに伝えたいと思ったから書いた記事
単発の記事というか。
同じ方向を向いていないというか。
テーマに沿っていないというか。
いや、でも待てよ。
日々のアイデアメモってそんなもんではないか。そう思う気持ちもあります。
となると、雑多なアイデアメモを1冊の本にしていく力が足りないのか。テーマを設定する力や、いわゆる「構成力」や「編集力」が足りないのか。
そう思えてきました。
トップダウンかボトムアップか
こう考えていると、そもそもボトムアップで本を作るのは難しいのだろうか。そんな気にもさせられます。
日々、アイデアメモを書き溜めても、それを本作りには活かせない。
そうなるとトップダウンでいくしかないか、となる。
でも、そうなると、日々、アイデアメモを書き溜めるモチベーションが一気に下がるんですよね。これは由々しき問題です。
また、ボトムアップでまったく書けていないわけでもないんです。
というのは、日々溜め込んだアイデアメモを使って本を書けることもあるんです。とくに以下の拙著は、日々、溜め込んだメモだけで書いたといってもいいくらい。
他にも、一部は日々のアイデアメモを集めて書いた本もあります。
だからボトムアップで書けないわけではない。
書けないわけではないが、いつもこうは書けないのです。
ツッテルカステンを盲信しすぎた?
初めて『TAKE NOTES』 を読んだとき、こんなふうに本が書けたらと思い、ツッテルカステンを盲信し過ぎていたのもしれません。憧れ過ぎたのかもしれません。
素晴らしいノートテイキングの技法であるのは間違いないのですが、そう簡単にニクラス・ルーマン のように大量に本が書けるわけではない。
冷静になれば、当然なんです。
その冷静さがなかった時期がありました。とくに『TAKE NOTES』 を読んだ後のしばらく間は。さらに、そうは言っても、上手にツッテルカステンが運用できれば、ニクラス・ルーマンのように書けるのではないかと。
それは、一時期、Evernoteにアイデアメモを入れておけば、何か新しいアイデアや洞察が得られる、と信じていたのに似ているかもしれません。
まとめ
ここまで、とりとめのない考えにお付き合いいただきましたが、私の今の結論はこうです。
ということはしっかり認識した上で、書けない原因として次の3つを意識しておこうと思います。
- アイデアメモの不足
- 構成力(編集力)
- ツェッテルカステンを盲信し過ぎない
とくに2つ目は重要です。アイデアメモの断片を眺めて、いかに適切なテーマを設定できるか、構成を作れるか。もちろん材料がなければできないわけですが、この力さえつければ材料を集めただけでは終わらない、ということにもなります。
『TAKE NOTES』 では、
関心のある内容のメモを貯めておくと、自然に文章の主張が浮かび上がる
と言っていますが、この “自然に” というのが私に難しそうなので、主張(テーマ)を浮かび上がらせるための何らかのしかけが必要だと考えています。
この“しかけ”。
これが、今後の自分が本を書く上でのポイントになりそうです。