以下の記事では、情報整理に関する悩みと、それに対する私の対処法の概要を整理しました。
本記事では、その対処法を掘り下げます。
今回取り上げる悩みは、「どう整理してよいかわからない」です。
取り扱う情報の範囲が広ければ広いほど、どう整理するかというのは悩ましい問題ですよね。
デジタル情報であれば、検索すれば、たいして整理しなくても目的の情報を見つけれるかもしれません。
そう考えると、やはりきっちりと整理しておきたい気持ちも出てきます。だからこそ、どう整理すればよいのだろうか、と悩むわけです。
本記事では、デジタル情報をどう整理するかについて、最近、私が考えていることを紹介します。
1 どう整理してよいかわからない
情報の整理の仕方は、その人の情報を扱う目的や量によって異なりますので、万能な整理の仕方はないでしょう。
ただ、こう言ってしまうと身も蓋もないので、最近、私が実感している情報整理を考える上で押さえておいた方がよい考え方を紹介します。
(1)情報整理は”フォルダ”での整理がすべてではない
これまで10年以上、情報整理についていろいろ考えてきて、ここ最近、特に重要だと思う情報整理における根本的な考え方です。
それは、情報整理の仕方は、ツリー構造だけではない、ということです。
情報を整理するとき、多くの方は、例えば、Windowsであればエクスプローラー(Macでいえば Finder)にテーマ(内容)ごとにフォルダを作ってデータを整理することが多いでしょう。さらには、1つのフォルダの中に複数のフォルダを作って分類するかもしれません。
パソコンに馴染みのない方であれば、ノートアプリの例の方がわかりやすいかもしれません。例えば、Evernoteであれば、テーマ(内容)ごとにノートブックを作ってノートを分類し、さらには、複数のノートブックを束ねるスタックを作って整理するかもしれません。
これらは、すべて「ツリー構造で情報を整理している」と言うことができまます。
ツリー構造とは、データ構造の一種で、ある階層に属する一つのデータから、下位階層に位置する複数のデータが枝分かれした状態で配置されている構造のことである。(Weblio辞書)
これは、多くの方に馴染みのある情報整理のあり方だと思います。
私が、仕事で初めてパソコンを使い始めたとき、職場では当然のように、フォルダでデータを整理していましたし、多くのノートアプリでも、本質的には、このツリー構造で情報を保存する形をとっています。
だからこそ、多くの方は、無意識に情報整理はツリー構造で行うもの。フォルダで整理するもの。という思い込みがあるのではないか、と、最近、感じるようになりました。
ただ、情報整理の仕方は、こうしたツリー構造だけではありません。
(2)ネットワーク構造による情報整理
私は数年前にScrapboxを使い始めて、初めて知りましたが、ノート同士をリンクさせネットワーク構造で情報を整理する方法があります。
https://scrapbox.io/ネットワーク構造と聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、インターネットを考えれば容易にイメージができるでしょう。インターネットでは、サイトにリンクを張り、世界中の情報が網のようなリンクにより結びついています。
もっとわかりやすい例でいえば、「ウィキペディア」です。キーワードがリンクになっていて、それをクリックすると、そのキーワードに関する詳細な情報があり、さらにリンクがあり、という感じでリンクを張り巡らしたネットワーク構造により情報が整理されています。
情報を整理する形は、ツリー構造だけでなく、このようなネットワーク構造もありえるのです。
(3)ツリー構造の弊害
パソコンでフォルダを作って情報を整理したり、また、Evernoteなどのノートアプリでノートブックを作って整理しても、長い間使っていると、整理(分類)しづらい種類の情報が出てきます。
いわゆる「こうもり問題」です。
こうもり問題とは、どの分類項目に分類してよいかわからない情報が生じる問題。例えば、こうもりは獣と鳥の両方の性質を持っているため、どちらの項目に分類したらよいか。また、どちらに分類したかわからなくなり見つけるのが困難になる。野口悠紀雄氏が『「超」整理法』の中で言及した問題。
長い間、同じツールで多くの情報を扱っていると、必ずといっていいほど、この問題は出てきます。
そして、定期的にフォルダ(ノートブック)の構造を見直すはめにはり、ファイル(ノート)の移動など、けっこうな手間がかかることになるでしょう。しかも、見直したからといって、この問題が完全に解決できるわけではありません。
これは、ツリー構造で情報を整理する限り、起こりうる問題です。
(4)ツリー構造とネットワーク構造
最近、Scrapboxを使い始めて思ったのは、情報を整理するときに、いかに自分がこのツリー構造に縛られているか。無意識にフォルダを作り、その中にフォルダを作り、という整理をしようとするのです。
Scrapboxにはフォルダもノートブックもありません。
ただただ、情報をフラットに保存していくだけです。そこにツリー構造はありません。
あるのは、タグとブラケットで囲んだキーワードがノート間をリンクする機能だけです。
よって、どこに分類しようか、という問題はおきません。そもそも分類先のフォルダがありません。分類で使えるのはタグだけなので、思ったままタグをつけるだけです。
こうしたネットワーク構造で整理できるツールはScrapboxだけではありません。最近では、Scrapbox以外にもObsidianやRoam Researchが人気のようです。
フォルダなどのツリー構造に慣れていると、これで情報を整理できるか、必要な情報を必要なときに取り出せるか不安になりますが、実際に使ってみると十分可能です。
情報が増えてきても、フォルダのように構造を組み直す必要がありません。せいぜいタグを付け直したりするだけなので、ツリー構造より圧倒的にメンテナンスの手間はかかりません。
それに能動的に整理しようとしなくても、タグやリンクによって芋づる式に情報がつながるので、案外、目的の情報を探せるものです。
もし、情報の整理はフォルダで行うもの、と無意識にツリー構造での情報整理が前提になっていたとしたら、ぜひ、ネットワーク構造での情報整理のあり方についても考えてみてください。
もちろん、ネットワーク構造は万能ではありません。ネットワーク構造での情報整理は、情報の全体像が把握しづらいなどの短所もあります。
ここで言いたいのは、ツリー構造がダメでネットワーク構造をススメるものではありません。
これまで無意識にフォルダなどのツリー構造での情報整理が当たり前になっているのであれば、今回紹介したネットワーク構造や、例えば、フォルダを使わずタグだけで整理するなど、自分が扱う情報の目的や性質によって、どのように整理していくのがよいかを考えることが必要ではないか、ということです。
その選択肢として、ツリー構造だけに縛られる必要はないのです。
2 おわりに
本記事をまとめます。
- 情報整理の仕方はフォルダなどのツリー構造だけではない
- ツリー構造は、分類できない情報が生じたり、どこに分類したかわからなくなる問題が出てくる
- ネットワーク構造で情報を整理する方法がある
- 情報整理は、ツリー構造ありきではなく、自分が扱う情報の目的や性質によって整理の仕方を考えることが大事である
ちなみに、本記事の「どう整理してよいかわからない」というのは、以下の記事「必要なときに必要な情報がすぐに見つからない」と表裏一体の内容です。
これらの記事もあわせてご覧いただき、改めて、ご自分の情報整理について考えを巡らせ、少しでもプラスになれば嬉しいです。