1 はじめに
数年前のことですが、子どもが小学校1年生のとき、読書感想文のコンクールで学年代表の作品に選ばれました。
自分が同じ歳のとき、読書感想文には随分苦労した記憶があるので、子どもには同じ気持ちを味わせたくない。
そう思い、自分なりにインターネットで調べたり、子ども向けのみならず大人向けに書かれた読書感想文や論文の書き方などの本を読み、それらもとに小学校1年生の自分の子ども用に読書感想文の書き方を構築しました。
幸いにも良い結果が出ましたので、読書感想文に悩む小学校低学年のお子さんを持つ親御さんに参考にしていただこうと、その書き方を公開します。
内容は、小学校低学年向けになっていますが、本質的には、小学校低学年だけでなく、中高生や大人が、レポートや論文などある程度の分量の文章を書くときに役立つ方法だと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
2 読書感想文の書き方の手順
子どもが本を読んだら、以下の手順で進めます。
(1)子どもにインタビューをする
子どもに質問して本を読んで感じたことなどを話してもらいます。
ここで出た答えが、読書感想文の素材になりますので、できるだけ引き出すように心がけます。
質問は、例えば、以下です。
- ■本を読んだきっかけ
- どうしてこの本を読もうと思ったの?
- なぜこの本を読書感想文に書こうと思ったの?
- ■あらすじ
- どんなお話なの?
- 誰が出てくるの?
- ■自分に置き換える
- もし自分が◯◯だったらこうするのにという場面はあった?
- 自分と似ている人はいた?
- 自分よりすごいなと思ったところは?
- 真似したいと思ったところは?
- 思い出した出来事はある?
- ■心に残った内容
- 気に入ったセリフは?
- どうして◯◯なんだろう?と思ったところは?
- 初めて知ったところは?
- お話に出てくる人に言いたいことや聞きたいことは?
- 友だちやお父さんお母さんに話したいところはどこ?
- もう1回読みたい場面は?
- 本の中で1番好きなところは?理由は?
- ■読後の変化
- 読み始める前はどんな本だと思った?読んでみてどうだった?
- 読み終わって、自分が変わったところはある?(こうしたい、こう考えたい)
(2)子どもの話をポストイットに書く
前項のインタビューをしながら、子どもが話した内容を親がポストイットにメモします。子どもの1つの発言で1枚のポストイットがよいでしょう。
キーワードだけで書くよりも、子どもが話した実際の言葉を書いておく方が次の作業がしやすくなります。
また、ポストイットは、大きいものを使った方が子どもは見やすいと思います。
(3)ポストイットを並べて動かす
子どもの話が出尽くしたところで、メモを書いたポストイットを子どもの前に並べます。
ざっとひととおり親が読み返し、どんな内容があったか子どもと一緒に確認します。
その後、読書感想文をどういう順番で書くか話し合いながら、その順番になるよう子どもにポストイットを並び替えてもらいます。
そのとき、どれを最初にすると読む人にわかりやすいかな?、どういう順番にすると本を読んでいない人に伝わるかな?など声かけしながら一緒に決めていきます。
(4)一番伝えたいことを決める
読書感想文を読む人に1番伝えたいのは、どのポストイットかを話し合います。
なぜそう思うのかを話し合い、子どもが話した内容を新たなポストイットにメモして、1番伝えたいと思ったポストイットの近くに追加して並べます。
(5)ポストイットをもとに子どもが文章を書く
並んでいるポストイットの順番に、ポストイットにメモした内容をもとにして子どもが文章を書いていきます。
材料は並んでいるので、あとは、それをどうつないで文章を書いていくかがポイントです。
子どもが悩んだら、このポストイットと次のポストイットの間にどういう言葉があれば読む人はわかりやすいかな?など声かけをします。
また、子どもが1番悩むのがタイトルと書き出しです。
タイトルは、前項で子どもが「1番伝えたいこと」と決めた内容をもとに考えるといいよ、とアドバイスするとよいでしょう。1番伝えたいと思ったことですから。
書き出しは、(3)で1番上に持ってきた内容にあわせた、いくつか典型的なパターンを示してあげるとよいと思います。それによって(3)で決めた順番を見直す必要があればポストイットを並び替えます。
例)
- この本は、◯◯のお話です。
- この本に出てくる◯◯は、◯◯な人です。
- この本を読んだきっかけは、◯◯です。
- 「◯◯」は、◯◯のセリフです。
- この本を読む前は◯◯でしたが、読み終えた後は◯◯になりました。
- この本を読んだ後の感想をひとことでいうと「◯◯」です。
やはり、最初につまずくと、書くモチベーションが下がってしまいますので、書き出しがスムーズに書けるかは大事です。
(6)推敲する
ひととおり書き終えたら、先生や他の友だちがスラスラ読めるかどうか、確認してみようかと声をかけます。
まずは子どもに自分で声に出して読んでもらって、読みにくかったところはかなった?、どう直したら読みやすくなる?と聞き、推敲を促します。
読みやすくなり、内容に漏れがないと子どもが判断したら完成です。
3 おわりに
この方法は、大人にも役立つと思います。
ポストイットに書くところは、例えば、パソコンのテキストエディタを立ち上げで思いつく限り箇条書きで打ち込みます。
ポストイットを並び替えるところは、テキストエディタに打ち込んだ内容をコピー&ペーストしながら順番を並び替えます。
あとは1つ目の箇条書きと2つ目の箇条書きの内容の間を文章でつないでいくイメージで順番に書いていけば、文章を書くのが苦手な方でも割と書きやすいのではないないかと思います。
ちなみに、テキストエディタではなくアウトライナーを使えば、これらの作業は随分やりやすいものになるで、アウトライナーの活用がオススメです。
このあたりの話は、拙著『文章を書くのが苦手!が克服できた「箇条書き文章法』や『アウトライナー思考法〜自分だけの思考ツールを手に入れよう』でふれていますので、ご興味があれば、ぜひご覧ください。