『考えの育て方 知的生産のデジタルカード法』を読んで、Evernoteを使い始めた2010年から志向してきた自分のアイデアメモとの向き合い方が整理できた。
ここでいうアイデアメモとは、本書でいう
どう扱うのかその時点では決められない情報
である。具体的にいうと、私の場合、ブログやKindle本のテーマになるかもしれないメモである。
アイデアメモの扱いにくさ
この “なるかもしれない”、というのが扱いにく元凶だ。
“なる”、と決まっていれば、それは本書でいうとおりネタ帳である。これは後で必要なときに探せるようにしておけばよい。それはそれほど難しいことではない。
でも、“なるかもしれない”メモ、
すなわちアイデアメモはこれでは役に立たない場合が多い。必要なときがわからないからだ。アイデアが必要なとき、というのはあるが、それが過去に蓄積したアイデアメモのどの情報が必要かはわからない。
だからアイデアメモを扱う上で、本書でいう、この考え方が重要なのだ。
アイデアの整理において真に必要なのは、いかに新しいインスピレーションを生み出していくか
アイデアメモとの向き合い方
では、新しいインスピレーションを生み出していくために、このアイデアメモとはどう向き合えばよいのか。
- 文章化しておく
- 関連性を探る
- 探しているわけではない情報が見つかる
本書の中のこの3つのキーワードがヒントになりそうだ。
確かに、経験上、インスピレーションが得られるきっかけは、これらが関連している。
本書ではこう表現されている。
必要なのは、自分の考えを文章化して残しておくことであり、その文章にタイトルをつけることだ。そして、もう一つ〈関連性を探る〉ことも欠かせない
さらに、Scrapboxの話の文脈だが、これも見逃せない。
Scrapboxの面白さはそれだけではない。Scrapboxでは、「探しているわけではない情報」が見つかる
だから、アイデアメモは秩序だった整理が必ずしもよいというわけではない。逆に無秩序が功を奏する場合もある。キッチリ整理されているより、関連性や思わぬ情報との出会いを意識した扱い方が大事なのだ。
これが他の情報との取り扱い方と大きく違う。
これを一緒のツールで管理しようとすると難しくなるというわけだ。できないわけではないが、考え方を変えて運用しないといけない。
それに気づかず使っていたのが初期のEvernoteのあり方だったと今は思う。
いや、気づいていなかったというより信じていたんだと思う。
Evernoteにすべての情報を突っ込んでおけば、インスピレーションが起こりうると。
でも起こらなかった。
そこから試行錯誤が続いた。
アイデアメモを扱うツール
Evernoteではインスピレーションにつなげることは難しいと気づき、アイデアメモの扱うのにWorkFlowyを使い始めた。今から4、5年前のことだ。
アイデアメモを自由自在に動かし、インスピレーションを得ようとしたのである。
当時は、しきりにWorkFlowyを「思考の作業場」と宣言していた。それだけEvernoteとの使い分けを意識していたのだ。
それが今ではWorkFlowyがObsidianになった。
アイデアメモを動かすだけでなく、先ほどの関連性と思わぬ情報との出会いの重要さに気づいたからだ。それにはObsidianが最適だった。
本書ではカード・システムが強調されているが、
私は特にカードにはこだわっていない。過去の蓄積したノートとの出会いにこだわっている。だから本書のこの一節は最重要だと思った。
文章を書くことで自分の着想について考え、別に書いたページと接続することで着想同士の関係を考え、過去に書いたページに応答することで、昔の自分の考えについて考える
これが意識的、かつ、無意識的にできるツールであれば、Obsidianでも、Scrapboxでも本質的には何でもいい。あとは好みだ。
ただ、無意識的にできるのは、今のところ、2ステップリンクが強力だと思っているので、この2つが有力だろう。
今の向き合い方
本書を読んで、自分のアイデアメモとの向き合い方が整理できた。というか、今の方向性でいいんだと、背中を押してもらった。
アイデアメモはObsidian。もう少し詳しく言うと、ブログやKindle本のテーマに資する情報はObsidian。
それ以外の情報はEvernote、と長年使ってきただけにそう言いたいところだが、Apple純正メモアプリ。スピード、使い勝手、金銭的負担など総合的にみてそうなった。
ベースはこの2つ。
ただ、ここで強調しておきたいのは、ツールではない。
アイデアメモと向き合う場合は、前述した次の3つの視点だ大事であり、それを実現できるツールであれば後は好みでよい。
- 文章化しておく
- 関連性を探る
- 探しているわけではない情報が見つかる
あと、他の情報はすぐに取り出せるような整理ができれば好みで選べばよい、といことだ。
これまでツラツラと述べてきたが、このキッカケを与えてくれたこの本は、アイデアメモや情報の扱い方に興味がある方なら、いろいろ考えさせられるだろう。私のように。
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