アウトライナーに興味を持っている方にとっては、少し刺激的なタイトルかもしれません。
別にアウトライナーのソフトとしての優劣を決めたいわけではありません。
ただ、単純に今の自分の心の中の葛藤を素直に表現したらこうなったのです。
自分のメインアウトライナーを「OmniOutliner」とするのか、「WorkFlowy」とするのか。
約半年間、OmniOutlinerをメインに使ってきました。後述しますが、それが難しくなってきたので、「OmniOutliner vs WorkFlowy」という構図が頭に入り込み、ここ数日、ずっと悩んできました。
本記事は長文なので、まず要旨を書いておきます。
OmniOutlinerは大変使いやすいアウトライナーです。ですが、唯一最大の課題がネックになり、この先もずっと使い続けるアウトライナーとして限界を感じ始めてきました。そこで、以前、使っていたWorkFlowyを再び使うためにいろいろ試行錯誤を始めよう、という結論に至るまでの、思考の流れが本記事です。
1. アウトライナーは「WorkFlowy」ではなく「OmniOutliner」を使い続けてきた理由
本格的にアウトライナーを使い始めたのは、2015年7月頃からです。
この本がきっかけでした。
アウトライナーの主な用途は、ブログのネタ出しと整理、ブログの執筆、読書メモ、モヤモヤした考えの整理の4つ。
最初はWorkFlowyを1ヶ月くらい使い、後述する理由でOmniOutlinerを使うようになりました。
(1) 「WorkFlowy」の難点
「WorkFlowy」を使い始めたとき、あまりの使いやすさに、WorkFlowyにはまりました。これはずっと使い続けることができるアウトライナーだ、と思い有料プランを考えたほどです。
しかし、それはPC版(Web版)だけでした。
iPhone版(iOS版とWeb版)のアプリは、使い勝手がよいとはとても言えるものではありません。
以下の以前の記事でも書きましたが、私にとって決定的に使い勝手がよくない点は次の3つでした。
アウトライナーは「WorkFlowy」より「OmniOutliner」を使い続ける理由 – いつもていねいに
- アプリからエクスポートできない
- トピックの順番の入れ替えの操作が不便
- その他(字が小さい、文字に色をつけたいなど)
(2) 「OmniOutliner」を使うことした決め手とは
一方、「OmniOutliner」を使ってみると、PC版(Macのソフト)はWorkFlowyに負けず劣らず使いやすいものでした。
前述の以前の記事でも書いたとおり、とくに次の2点は、デフォルトのWorkFlowyにもない便利な機能でした。一応、WorkFlowyもカスタマイズすれば似たようなことをできないことはないようですが。
- 全体を俯瞰できる「目次」の機能
- 文字を装飾できる(色、ハイライト、フォント形式)
さらにOmniOutlinerのiPhone版(iOS版)はWorkFlowyと比べ物にならないほど使いやすいのでした。
これも前述の記事に書きましたが、とくに次の点は秀逸です。
- エクスポートができトピックの移動がスムーズ
- 同期がスムーズ
- 文字の大きさが変えられる
- 文字や行の装飾ができる
iPhone版においては、トピックの移動のしやすさと、エクスポートについて、圧倒的に「WorkFlowy」よりOmniOutlinerの方が利便性が上です。
結局、アウトライナーは、パソコンよりもiPhoneで使うことの多い私にとっては、このiPhone版の使い勝手の良さが決め手となり、OmniOutlinerをメインのアウトライナーとして使い続けることにしたのでした。
参考 アウトライナーは「WorkFlowy」より「OmniOutliner」を使い続ける理由 – いつもていねいに
2.「WorkFlowy」を使い続けることに決心した一番の決め手とは
約半年間、OmniOutlinerを毎日のように使ってきました。
iPhoneやiPad mini、Macで使っていましたが、何の不満もありません。
ブログの下書きは、全てOmniOutlinerで書いていました。
OmniOutlinerは、iPhone版でもMacと同等まではいかないまでもかなりの機能が使えます。
スムーズな同期により、シチュエーションに応じて端末を使い分けることができ、大変心地よく使うことができていました。
次第に、今までEvernoteで管理していた読書メモなどもOmniOutlinerで書くようになり、テキストデータの多くはOmniOutlinerで扱うようになってきました。
そして、OmniOutlinerを一生使い続けるツールとして育てあげようという思いがだんだん強くなってきました。
(1) 「OmniOutliner」の唯一にして最大の欠点
使い始めた当初は同期にそれほど意識していないくらいスムーズでした。
それが、半年くらいたつと、どの端末でOmniOutlinerを起動させても同期に少し遅さを感じるようになりました。
私は書きかけの文章や断片を散逸させたくないなどの理由で1つのファイルでOmniOutlinerを運用していましたので、そのときはファイルの容量は5メガを超えていました。
同期している最中はファイルを操作することができません。
その待っている間、わずかな時間ですが、ストレスを感じるようになってきました。
よく出先でパッと頭に浮かんだ思考をiPhoneのOmniOutlinerでパッと書き留めることをしていたのですが、それができなくなってきました。
ただ、同期する時間を待たずして、思わず書いてしまうこともあります。
そうすると、同期の競合、すなわち同期に矛盾が生じてしまうことが出てきます。だんだん、それが煩わしく感じるようになってきました。
それをTak.(@takwordpiece)さんは、OmniOutlinerの「唯一にして最大の欠点」と実に端的で的確な表現をされています。
唯一にして最大の欠点。遅さはまだがまんできるとして、競合の多発は致命的。やはりファイル単位では仕方ないんでしょうね。OmniFocusでは実用的な同期ができてるので、その仕様を逆輸入?できないのかなあ、などと思ってるのですが。 https://t.co/jGQu0k7qIR
— Tak. (@takwordpiece) 2016, 1月 14
ちなみに、この同期の問題に関することは以前の以下の記事で詳しく書きましたので、興味のある方は参照してみてください。
アウトライナー「OmniOutliner」の同期の問題への対処法を考える – いつもていねいに
今ではファイルが10メガを超え、OmniOutlinerを起動させ同期を待つのに体感で10秒以上はかかりストレスを感じるようになってきています。
この先使い続ければ、もっと同期の時間はかかるでしょう。
それを考えると、この先も使い続けることがきるのか、という想いが頭をよぎるようになってきました。
(2) 「OmniOutliner」の唯一にして最大の欠点を解決するために
OmniOutlinerを使い続けることに限界を感じ始めていたということです。
私は、自分の知的生産を支えてくれる、この先もずっと使い続けることができるアウトライナーを求めています。
操作方法や機能などの使い勝手はOmniOutlinerで申し分ありません。
ただ、この同期問題を解決しなければ、使い続けることは困難です。
解決するための一番簡単な方法は、1ファイルの運用をやめること、だと思います。
ただ、前述したように書きかけの文章や断片を散逸させたくないのと、自分が書き落としたそれらの情報が1カ所に集まることでできる化学反応みたいなものがあると、思っています。
だから、1ファイルの運用は続けたい。
でも、それだとOmniOutlinerを使い続けるのは難しくなる。
OmniOutlinerは、今まで自分が使ってきた他のアウトライナーよりも多機能で同期の問題を除けば大変使いやすい。特にiPhone版の使いやすさは、他のアウトライナーの群を抜いている、と思っています。
どうしたものか。
そこで、もう一度目を向けたのがWorkFlowyでした。
WorkFlowyはそもそも1つのアウトラインしか作れませんので、私の1ファイル運用とマッチしています。
でも、トピック数が多くなれば、OmniOutlinerと同じように同期の問題が出てこないのか。
少し不安な部分はありますが、次の記事がその対策の参考になりそうです。
私のWorkFlowyに対する不安を取り除いてくれました。
参考 WorkFlowy Proの共有機能で、スマーフォン用サブアカウントに「flow」トピックを共有する
(3) 「MemoFlowy」と「HandyFlowy」への期待
初めてWorkFlowyを使って感じた使いにくさは、前述したとおりiPhone版の使い勝手でした。
パソコン版にはそれほど不都合は感じていませんでしたので、WorkFlowyのiPhone版さえ使用に耐えうるようになれば。そう思い、何か良い方法はないものかと、WorkFlowyの秀逸の記事が満載の次のブログの過去の記事に細かく目を通し始めました。
そこでいくつかの解決策のヒントを得ることができました。
iPhone版のアプリ(Web)の耐え難い課題は、前述のとおり、
- エクスポートができない
- トピックの移動がしにくい
- 文字の装飾ができない
ということでしたが、こういう対応をすることにしました。
エクスポートができないことについては、主にブログの下書きを投稿するために必要ですが、次のブックマークレットでなんとかなりそうです。
WorkFlowyからhタグをつけて「SLPRO X」や「するぷろ」へ送るbookmarklet|マロ。|note
トピックの移動のしにくさは、OmniOutlinerには及ばないですが、そこはあきらめるしかなさそうです。ただ、アプリやWeb版の特性を知ることで少しは操作性が向上するかもしれないという意味で次の記事が役立ちました。というか、あきらめがつきました。
参考
【連載】iOSからWorkFlowyを快適に使う(1) iOS版公式アプリの課題を整理し、解消の道筋を描く。
【連載】iOSからWorkFlowyを快適に使う(2) 操作と反応の細かい対応関係をちまちま理解して、公式アプリの力を引き出す。
【連載】iOSからWorkFlowyを快適に使う(3) ブラウザアプリからWorkFlowyを使う。
文字の装飾については 、次の記事を参考にすれば擬似的にはなんとかなりそうです。
参考
WorkFlowyスタイル変更ブックマークレット|マロ。|note
iPhone/iPadのWorkFlowyを魔改造するMarkFlowy(2015年末版) – W&R : Jazzと読書の日々
OmniOutlinerと比べると、他にもトピックごとのコピーや削除ができないことや、複数のトピックをまとめてコピーや削除、移動ができないこと、動きが軽快でない(上のバーが下に少しだけ移動したりと、動きがおかしいときがある)など、まだまだ不満を感じてしまいます。
しかし、そのあたりは今後リリースが予定されているという「Handy Flowy」に期待できそうな予感がありますし、最近リリースされた「MemoFlowy」が入力においてはかなり操作性がよさそうなので、今はガマンするしかないか、と思えてきました。
参考
【連載】iOSからWorkFlowyを快適に使う(6) iPhoneからのWorkFlowyをもっと自由にするMemoFlowy&HandyFlowy
3. 「OmniOutliner」と「WorkFlowy」を選ぶときの決め手と私の結論
(1) 「OmniOutliner」か「WorkFlowy」で迷うときの決め手
OmniOutlinerかWorkFlowyか。
アウトライナーを探している方にとって悩ましい選択かもしれません。
WorkFlowyを1ヶ月間、OmniOutlinerを半年間、毎日のように使っていた私からすると、パソコン版においては、どちらにするかは好みの問題といえる域だと思っています。
多機能を求めるならOmniOutliner、シンプルさや前述した先人のブログなどを参考にアレンジを楽しみたいならWorkFlowyといったところでしょうか。
あと、OmniOutlinerはMacしかなく、Windowsでは使えないという制約もあります。
iPhone版については、絶対的にOmniOutlinerの方が使い勝手がよいです。Macと同期させる使い方でなくてもiPhone版アプリ単独でも十分アウトライナーとして使える機能を備えています。
パソコンで使う場合は、OmniOutlinerかWorkFlowyかは好みの問題、iPhoneではOmniOutlinerの方が使いやすい、というのが使い勝手からみた結論です。
ただ、OmniOutlinerかWorkFlowyかを考える上で一番大切になってくるのは、機能や使い勝手よりも、まずはアウトライナーを1つのファイルで管理するのか、また、長く使い続けたいのか、を自問自答した方がよいと思います。
その答えが、1つのファイルで長く使い続けたいのなら、OmniOutlinerでは、私のようにいずれ同期の問題で悩まされる可能性が出てくると思います。アップグレードで改善されれば話は別ですが、今のところ厳しいのではないかと思います。
(2) 私の結論
OmniOutlinerは、これまで述べてきたように、同期の遅さや同期の競合に限界を感じてきましたので、アップデートなどで改善がない限りは、メインのアウトライナーとしては使い続けることはできそうもない、と思っています。
かといってWorkFlowy、とくにiPhone版のことですが、満足できるかといえば、正直、ストレスを感じます。
あとは、前述した解決策などを試したり、MemoFlowyを使ってみたり、パソコン版のWorkFlowyをいろいろカスタマイズしてみたり、そんなことをしながらHandyFlowyのリリースを心待ちにしたいと思っています。
また、先に紹介したブログ「単純作業に心を込めて」の管理人の彩郎さんの著書が1月29日に発売されますので、これを参考に自分の知的生産ツールとしてのWorkFlowyを試行錯誤してみようかな、と思っています。
4. おわりに
最近、OmniOutlinerに限界を感じ始め、アウトライナーを今後どうしていくかが定まらない状況だったので、なんだか気持ちが落ち着きませんでした。
それだけ、私にとってアウトライナーは生活に欠かせないツールになってきているんだと、改めて実感した機会となりました。
今はどれだけWorkFlowyを自分の知的生産ツールとしてフィットさせることができるか、ワクワクしています。