親の都合で居場所を転々として、教育も満足に受けられず振り回される子どもたち。行政の職権による住民票の消除により居所不明となり、行政のセーフティーネットから漏れる。挙げ句の果てには、親からの虐待やネグレクトにより死に至る。
そんな複数の事例がリアルに描かれている本書を読んで、7歳と1歳の子どもを持つ親としては、いろいろ考えさせられました。
親の身勝手な行動には、理解しがたいものがありましたが、共通していたのは、生活困窮に陥って悲劇が起こるということでした。それを考えると、誰しも陥る可能性があり、他人事ではないと考えなければいけない。
また、行政では予算的にも人的にも限界ではないか。行政にばかり目を向けるのではなく、親の自覚と責任感の欠如について、もっと考えなければいけない。
そんなことを考えながら、親として、どんな生活状況に置かれようとも子どもを守る責任と覚悟を持ち続けなければいけない、と気を引き締める思いを持ちました。
当たり前ですが、自分の子どもを守るのはお役所ではなく、周りの人ではなく、他の誰でもない親である自分ですから。
本書は、子どもを持つ親御さんには、居所不明児童の問題を考えるきっかけになるだけではなく、その問題を通して、親としてどうあるべきなのかを考えさせられる、本だと思います。