本記事は、アウトライナーを難しくとらえず、日々の暮らしや仕事が便利になり、誰でも気軽に使えるものとして考えたい。文章を書くツールとしてだけではなく、生活や仕事が便利になるアウトライナーの具体的な使い方を提案したい、という趣旨で連載している『暮らしと仕事に役立つアウトライナー「WorkFlowy」の使い方レシピ』の11回目「暮らしに役立つレシピ 8 セルフマネジメント」です。
この連載の一連の内容は次のとおりです。
『暮らしと仕事に役立つ「WorkFlowy」の使い方レシピ』
- 1. はじめに
- 2. WorkFlowyの始め方
- 3. WorkFlowyの基本的な操作方法
- 4. 暮らしと仕事に役立つWorkFlowyのレシピ
- (1) 暮らしに役立つWorkFlowyのレシピ
- (2) 仕事に役立つWorkFlowyのレシピ
この連載の中で使うアウトライナーは「WorkFlowy」です。WorkFlowyの始め方や使い方については、第2回と第3回の記事を参照してください。
この連載後、順次レシピを追加し、全てのレシピを集めた全集のページを開設しました。
1. WorkFlowyを「セルフマネジメント」のために使うレシピ
「セルフマネジメント」という言葉からイメージする内容は人それぞれ異なるかもしれません。ここでは、セルフマネジメントを次の3つの視点でとらえ、そのセルフマネジメントに役立つWorkFlowyの使い方を紹介したいと思います。
- 自分が進むべき方向を管理する
- 自分を律する
- 自分のよい状態を保つ
① WorkFlowyで管理する内容を決める
まずは、先の3つの視点を参考にして、WorkFlowyを使ってセルフマネジメントをする上で、自分にとって必要な内容を決めます。
例えば、
- 「自分の進むべき方向を管理する」ために、長期、中期、短期の目標を書いておき、自分の進む道に迷ったとき見直す。
- 「自分を律する」ために、日々、反省した内容をメモし、定期的に見直す。
- 「自分のよい状態を保つ」ために、毎日、自分の体重と体脂肪率のログをWorkFlowyに残し健康管理をする。
といった具合です。
参考1
WorkFlowyでセルフマネジメントする内容として、いくつか例示をあげてみます。WorkFlowyで何をセルフマネジメントするかの参考になればと思います。
- 目標の管理
- 今年の目標(短期目標)
- 将来の目標(中期、長期目標)
- 自分の生き方
- 自分の生きる指針
- 自分の考え方、ルール
- 大事にしていること
- 習慣にしていること
- 今後に活かすために
- 反省したこと
- 今後意識したいこと
- 課題と感じていること
- 体調の管理
- 体重
- 体脂肪率
- 風邪の症状と対処法
- 自分を支える言葉
- 勇気づけられる言葉
- 元気が出る言葉
- モチベーションがあがる言葉
- 自分の成長の記録
- 自己実現できたこと
- うまくいったこと
参考2
タスク管理については、以前の以下の記事で紹介しましたので、本記事のセルフマネジメントの中には含めていません。
② トピックを立てストックする
WorkFlowyで管理する内容を決めたら、それを管理する上位トピックを作ります。
例えば、1年間の目標など、目標を書くトピックであれば「目標の管理」という上位トピックを作り、その下位に1年間の目標や、中期・長期の目標を書きます。
さらに、その下位トピックは内容に応じて構造化しておくと、見返しやすいですし、その内容に対する考えが深まるでしょう。
また、管理する内容にもよりますが、例えば、「反省したこと」をストックしておくトピックを立てたら、日々の暮らしの中で反省した内容があれば、その都度、このトピックに書き込みストックしておきます。
③ 定期的に見返す
セルフマネジメントの内容は、定期的に見返すことが重要です。
内容にもよりますが、先の例でいえば、目標であれば月1回、反省したことであれば週1回など、自分にとって望ましい頻度で定期的に見返すことができるように、リマインダーアプリなどで設定しておくとよいでしょう。
Point
例えば、勇気づけられた言葉など、自分の状態を保ったり立て直すための内容をWorkFlowyで管理している場合は、定期的というよりも、落ち込んだときや元気が出ないときなどに、その都度、見返すという使い方になります。
2. このレシピのオススメPoint
このレシピは、WorkFlowyでなければいけない、ということはないでしょう。でも、セルフマネジメントの内容をアウトライナーで構造化しておくと、見返すときに頭に入りやすいですし、構造化することによって、内容に対する考えがより深まると思います。
WorkFlowyは、この構造化する操作がとても簡単にできます。
また、WorkFlowyは、パソコンやスマートフォン、タブレットなど、どの端末でも見返し書き込むことができます。
こういった点からWorkFlowyを「セルフマネジメント」として使うというのは、1つの便利な使い方だと思います。
3. 私の使い方
私は、WorkFlowyの最上位のトピックに「Self Management」というトピックを作っています。その中に、目標、心がけ、自分を支える言葉、意識すべきこと、学んだこと、を入れてあり、週次または月次レビューと称して定期的にその内容を見返しています。
では、具体的にどんなことを書いているか順番に紹介します。
(1) 目標の管理
「Self Management」の下位トピックに「目標の管理」というトピックがあり、その下に「1年間の目標」「長期目標」「基本姿勢」「自分の強み」というトピックがあります。
毎年、年末に翌年の目標を考えるようにしていますが、その内容が「1年間の目標」トピックの下に書いてあります。
「長期目標」と「基本姿勢」は、あまり変更されることはありませんが、1年間の目標を決めるときには必ず内容を見直しています。
「自分の強み」は、以前、何かの本で勝間和代氏が紹介していた『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』の中にある「ストレングス・ファインダー」という自分の強みを導き出すシステムでテストした結果の「自分の強み」が書いてあります。
これらは、月1回、見返すようにしています。
(2) 自分が自分らしくあるための心がけ
「自分が自分であるための「108つの心がけ」」というトピックを作っています。
これは、以下の以前の記事でも書きましたが、自分を見失ったときに、それを見れば立ち戻ることができ、自分が自分らしくあるための基本となるものです。
本を読んだり、日頃の暮らしの中で、こういう生き方や考え方っていいな、と思ったときにここにメモするようにしています。
それがある程度たまってきたら、それをグループ化したり、階層化したりして、よりその内容を深め、自分の生き方を支えるものになるようにしています。
これも週1回見返し、自分を見失わないようにしています。また、自分の生き方に迷ったり悩んだりしたときに、見返すようにしています。
(3) 自分を支える「杖ことば」
作家の五木寛之氏は、著書『杖ことば』の中で「ともすれば、しゃがみ込みたくなるようなとき、人生の苦難の旅路を共に歩き、その一歩一歩を杖となってささえてくれる言葉」を「杖ことば」と呼んでいます。
私は、「杖ことば」というトピックを作り、その中に自分を見失ったときや、落ち込んだときに見返すと、ふっと心が軽くなり自分を支えてくれる言葉をストックしています。
ですので、日頃の暮らしの中で、こういった言葉に出会ったら、すぐにWorkFlowyの「杖ことば」のトピックにメモするようにしています。
ただ、以前の記事(「レシピ5 読書ノート」)で紹介した本の抜き書きをしているときに、そういった言葉に出会ったときは、そのトピックに「杖ことば」というタグをつけて、すぐに見返せるようにしています。
「杖ことば」は、定期的に見返しているわけではありませんが、自分を見失ったり、落ち込んだり、悩んだりしたとき、見返しています。
(4) 教訓と意識
日頃の暮らしの中で、「しまったぁ!」と叫びたくなりような大きな失敗や、そこまでいかずとも、些細な失敗や反省をすることが多々あります。そういったときは、その失敗や反省を今後に活かすために、すぐにその内容をWorkFlowyにメモしています。
そのとき、気をつけていることが2つあります。
1つは、「○○を間違えてしまった」など、失敗した点や反省点を書くのではなく、「これからは○○を意識する」や「今後は○○しないようにする」という表現で書くようにしています。こうした表現にしておいたほうが、同じ過ちを犯さない次の行動につながると思うからです。
もう1つは、こういった内容を管理するトピックを作るのではなく、日記のトピックの中に書いているということです。
私は、以前の記事(「レシピ1 日記」|)でも書いたとおり、私は、毎日、その日一日ごとのトピックを作り、「日付トピックライフログ」と称して日記を書いています。
失敗や反省というのは、その日の出来事の中で起こることなので、日記を書くときに前後の文脈とあわせて書いたほうが後で見返したときにわかりやすいのです。WorkFlowyはタグをつけておけば、簡単に検索することができますので「意識」や 「教訓」といったタグをつけて後で見返しやすくしています。
これらは、週1回、見返して、同じミスをしないように注意しています。
(5) 学びの復習
日々、学びの連続です。知らない漢字に出会ったときや、基本的な英単語なのに意味がわからなかったときなど、そんな日常の些細なことも含めて、自分にとっての学びがあったときは、「日付トピックライフログ」に「学び」というタグをつけてメモしています。
その内容を定期的に見返すことで、学びの復習をして、少しでも自分の身になるようにしています。
(6) 見返しは「HandyFlowy」リマインダーは「2DO」
以上の5つの項目は、追記していくのも大事ですが、見返さなければ意味がありません。
私は、職場以外でパソコンの前で作業できる時間は、かなり限られていますので、こういった内容を見返すのは、ほとんどがiPhoneです。
iPhoneで見返す場合は、「HandyFlowy」が便利です。公式アプリですと、画面をスクロールしているときに、トピックにふれてしまうことでキーボードが出現してテキスト入力モードになってしまい、閲覧がしにくいのです。
その点「HandyFlowy」は「閲覧モード」という機能があり、画面をスクロールしているときにトピックを触っても反応しないため、スムーズに閲覧できます。テキストを入力したくなった場合は、ボタン1つですぐに「編集モード」に切り替えることができます。
また、セルフマネジメントを考えたとき、リマインダーのツールは必須だと思いますが、私は「※現在は、Taskuma(たすくま)を使っています。
(参考)実例スクショ
▼左は「目標」 右は「108つの心がけ」
▼左は「杖ことば」右は「意識タグ」を検索したところ。
4. おわりに
アウトライナーを使い始める前までは、こういったセルフマネジメントは、Evernoteで管理していました。それが、試しにWorkFlowyで管理してみると、Evernoteよりも見返す機会が増えました。
それは、WorkFlowyの方が動作が軽く、折りたたんだり展開したりすることにより、全体を見たいときや細部を見たいときの表示の切替が便利だからです。
WorkFlowyのセルフマネジメントのトピックが増えれば増えるほど、自分を支えてくれるものが増えていく感覚がありますので、これからもこの使い方を続けようと思っています。