本記事は、アウトライナーを難しくとらえず、日々の暮らしや仕事が便利になり、誰でも気軽に使えるものとして考えたい。文章を書くツールとしてだけではなく、生活や仕事が便利になるアウトライナーの具体的な使い方を提案したい、という趣旨で連載している『暮らしと仕事に役立つアウトライナー「WorkFlowy」の使い方レシピ』の9回目「暮らしに役立つレシピ6 モヤモヤした思考の整理」です。
この連載の一連の内容は次のとおりです。
『暮らしと仕事に役立つ「WorkFlowy」の使い方レシピ』
- 1. はじめに
- 2. WorkFlowyの始め方
- 3. WorkFlowyの基本的な操作方法
- 4. 暮らしと仕事に役立つWorkFlowyのレシピ
- (1) 暮らしに役立つWorkFlowyのレシピ
- (2) 仕事に役立つWorkFlowyのレシピ
この連載の中で使うアウトライナーは「WorkFlowy」です。WorkFlowyの始め方や使い方については、第2回と第3回の記事を参照してください。
この連載後、順次レシピを追加し、全てのレシピを集めた全集のページを開設しました。
1. WorkFlowyを「モヤモヤした思考の整理」のために使うレシピ
① 頭の中のモヤモヤを吐き出す
頭の中でモヤモヤしていることや、ぐちゃぐちゃしていることを、とにかく文字にしてWorkFlowyに書き出します。頭の中のモヤモヤやぐちゃぐちゃを紙に吐き出してしまうイメージです。とにかく書きまくります。
Point1
なるべく1トピックにつき1つの文章または1つのキーワードにしておくとよいでしょう。そうしておくと、後で順番を入れ替えたり階層化したりして、整理するときに便利です。
Point2
書き出すといっても、あふれるように言葉が出てくる人と、なかなか文字にできない人がいると思います。前者の方は深く考えずとにかく頭に浮かんでくるものを書き出せばよいでしょう。私は後者のタイプなので、そういった方は後述する「私の使い方」を参照してください。
② トピックを動かしてみる
書き出しただけでは、まだ、頭がすっきりしないなら、書いたトピックの順番を入れ替えてみたり、大きな概念の上位トピックでくくって階層化してみたり、逆にもっと細かい内容を書き出して下位トピックを作ったりしてみましょう。
すると、頭の中が整理されてくる感覚が出てくるかもしれません。
③ 拡散と収束を繰り返す
頭の中のモヤモヤやぐちゃぐちゃをとにかく書き出す①は、思考の拡散です。一方、書き出したトピックを動かしてみるのは思考を外に拡げるのではなく、出てきたものをいったん落ち着ける、すなわち収束です。
あとは、頭の中がすっきりしてくるまで、この「拡散と収束」を繰り返すしかないと思います。
Point3
WorkFlowyはトピックを折りたたんで非表示にしたり、Completeで非表示にしたりすることができます。思考を邪魔する目障りなトピックがあれば、非表示の機能を使うと何かよい作用が生まれるかもしれません。
2. このレシピのオススメPoint
WorkFlowyは、Enterキーを押せば、どんどん改行されて新しいトピックが作られます。この簡単な操作は、頭の中のモヤモヤを言葉にしてどんどん外に吐き出す助けになります。とにかく書いて、Enterキー、書いて、Enterキーという動作をひたすら繰り返せば、少しは頭がすっきりしてくるかもしれません。
書いた後のトピックは自由自在に動かせるので、吐き出すだけで終わらず、思考を整理するというレベルまで持っていける可能性が高くなります。
また、書いたトピックは簡単に非表示と表示を切り替えることができるので、こんなこと書いても意味ないかも、という内容でも後で非表示ににすればいっか、となり、書き出す心理的ハードルが下がるのではないかと思います。
3. 私の使い方
(1) とにかく書き出す、ひたすら吐き出す
頭の中がモヤモヤしていたり、ぐちゃぐちゃしているときは、とにかくWorkFlowyに書き出します。ひたすら書きます。頭の中をすべて吐き出すイメージです。そのとき、前述のレシピのとおり、1トピックにつき1つの文章または1つのキーワードで書くようにしています。
とはいっても、私はなかなか自分の頭の中でイメージしたことを文字に表すのが上手ではありません。ましてや頭がモヤモヤしたときや、ぐちゃぐちゃしているときには、なおさら文字にするのは難しいです。文字にできずにかえって苦しくなることもあります。頭の中はモヤモヤしているけど、言葉としてなかなか出てこないから、書き出せなくて苦しくなるのです。
(2) 頭の中のモヤモヤを文字にできないときは「思考をそのまま書く」を意識する
頭の中のモヤモヤやぐちゃぐちゃを文字にして書き出せないときにはどうしているか。
私は、「思考をそのまま書く」、ということを意識しています。
これは、『アウトライン・プロセッシング入門』で「フリーライティング」の方法として紹介されていたものです。それを私は、頭の中のモヤモヤやぐちゃぐちゃを文字に書き出して整理したいときに、応用的に使うようにしました。
本書ではこう説明されています。
ひとつだけ注意するのはキーワードの羅列にはしないこと。ラフでいいので「文章」の形を取ります。そしてできるかぎり手を止めず書き続けます。
何も浮かんでこなかったら「今、自分が書くべきことを書こうとしているのだが何も浮かんでこない。自分は何が書きたいのだろう?まずはここ数日身の回りで起こったことに何かヒントはないだろうか」とかなんとか書いてみます。何かを考えようとする思考をそのまま書き出してしまうのです。経験的に、深く考えずにただ手を動かしているうちに頭が働き始め、やがて書くべきことが流れ出してくることが多いようです。出てきたことは躊躇せずに書き出します。
私は、これを参考に、具体的にこう使っています。
頭がモヤモヤしていたりぐちゃぐちゃしていて、それを文字として書き出せなかったら「このモヤモヤした感じが書き出せない。ぐちゃぐちゃした感じが言葉にできない。何がそうさせているんだろうか。自分は何を考えようとしているのだろう。もっと単純に考えればいいのではないだろうか。」とか、なんとかとにかくひたすら書いてみます。思考の流れをとにかく書くのです。直接、モヤモヤがすっきりすることにつながらないかもしれないと思っても何でも書くのです。
私は、こうやってキーボードに載せた手をとにかく動かしていると、次第に、頭の中のことが、手を通じて、文字とし表れ始めてくることが多くなりました。すると、なんとなく頭がクリアになって気持ちが落ち着いてくるのです。すべてがそうなるとは限りませんが、とにかく思考の流れを書いてみる、というのはプラスに働いているのだと感じています。ちなみに、私はこの作業はスマートフォンよりもパソコンの方が効果が高いです。
(3) トピックを動かして構造化する
内容にもよりますが、書き出して終わりのときもありますし、少し整理した方がよい内容のときは、内容を構造化して整理します。WorkFlowyはトピックを簡単に動かせますので、この作業がスムーズにできます。パソコンでトピックを移動するとき、ドラッグでもできますが、私はショートカットキーをよく使います。
トピックの移動
- Mac:Ctrl+Shift +↓又は↑
- Windows:Alt+Shift +↓又は↑
参考
WorkFlowyの使い方とショートカットキーまとめ(Windows・Mac両対応)
iPhoneの場合は、「HandyFlowy」を使います。このアプリは、公式アプリよりもトピックの移動の操作が大変やりやすいです。
(4) 拡散と収束を繰り返す
頭がすっきりするまで、前項の(1)(2)(3)を繰り返します。書き出しては整理、書き出しては整理、をひたすら繰り返すのです。そうすると、だいぶ頭の中がすっきりしてくることがよくあります。もちろん、効果がないこともありますが、頭がモヤモヤしたりぐちゃぐちゃしているときの1つの解決策として、充分使える方法だと思います。
4. おわりに
吐き出す場がある、というのは安心感があります。
頭の中がモヤモヤしてきて、さらにはぐちゃぐちゃしてきて、何をどうしたらよいか、どう考えてよいのかわからない。混乱してきて何から手をつけてよいのか、どう整理してよいのか見当がつかない。あーどうしたらいいんだ、といった精神状態のときに、それを吐き出す場所としてWorkFlowyがある、というのは、私にとっては大事な安定剤となっています。
だから、そういったときはWorkFlowyを目の前にとにかく何でも書き出すことをしています。