2020年9月、Evernote for iOSがメジャーアップデートしました。
Evernoteのアップデートの紹介文によると「基盤から再設計した」とあり、かなり気合いの入ったアップデートであることがうかがえます。
私は2010年からのEvernoteヘビーユーザーであり、本を出版するほどEvernoteには思い入れがあります。
その私が、今回のアップデートしたEvernoteを使って率直に思ったのは、「これまでの使い方を見直す必要があるかもしれない」ということでした。
では、どう使い方を見直すのか。
まずは、その前に、今回のアップデートにより私が感じた便利になった点と不満な点を整理します。
1 メジャーアップデートにより便利になった点と不満な点
(1)便利になった点
①ノートエディタが使いやすくなった
今回のアップデートで1番便利に感じたのがノートエディタの改善です。
ツールバーの中身の配置が変わり、インデントがすぐにタップできるなど使い勝手が向上しました。また、フォントが数字で選べるようになったのは便利です。
② ノートリンクが簡単に作成できる
これまでもノートリンクのURLは作成できましたが、それが簡単にできるようになりました。
③ ノートの再読み込みがなくなった
これまでEvernoteのノートを閲覧中に他のアプリに切り替えて、再びEvernoteのノートを閲覧しようとするとページの読み込みが発生して煩わしかったのですが、これがなくなりました。地味な改善ですが、かなりストレスは減りました。
④ 検索機能が強化された
検索語句を入力するとリアルタイムで検索候補が表示されるようになりました。
検索語句と類似したタグが表示されるのでタグでフィルタをかけやすくなったのは便利です。また、保存済みの検索へのアクセスがしやすくなったのは使い勝手が向上しました。
⑤ インターフェースが統一された
各種端末のEvernoteアプリのインターフェースに統一され、あらゆるデバイスで同じように操作することができるようになりました。
⑥ Webクリップの結果がきれいになった
これまではWebクリップした結果が崩れる場合が多かったのですが、アップデートしてそれが改善されたような気がします。また、Webクリップした箇所に囲みがついてわかりやすくなりました。ただ、あいかわらずWebクリップできなかったり、一部分しかクリップできなかったりという不具合はあります。
このブログの記事をクリップすると以下のようになってしまいます。
⑦新規ノート作成のメニューが整理された
手書き、リマインダー 、音声、画像、空白ノートなど新規ノートの作成が一括にまとめられてスッキリしました。
以上、7点のうち、特に①〜③は、随分使い勝手がよくなったと実感しています。
(2)不満な点
①同期が遅くなった
これは致命的です。
端末のスペックによるのかもしれませんが、明らかに同期が遅くなりました。
EvernoteはiPhoneで使うことが多いのですが、例えば、2日ぶりにiPadでEvernoteアプリを起動させたときはひどいです。同期するのにかなり待たされます。
Evernoteは、ずっと重くて同期が遅かった時期が長かったのですが、ここ数年は、とくにiOSアプリでは同期にストレスなかったのに、こんなに遅くなってがっかりしています。正直、同期のことだけを考えれば、以前のアプリに戻したいくらいです。
→ アップデート直後に比べると改善された実感があります。(2020/12/23追記)
②起動が遅くなった
同期ほどではありませんが、起動も遅くなった実感があります。
アプリをタップするとEvernoteのアイコンが表示され、それからノートが表示されるまでのストレスを感じます。
→ 前項と同様、アップデート直後に比べると改善された実感があります。(2020/12/23追記)
③検索構文で検索した結果が反映されなくなった
毎週、私は保存した特定の検索構文を使って検索されたノートを見返しているのですが、アップデート後、検索結果に不具合があります。
MacのEvernoteでは正しく表示されるのに、iPhoneと iPadのEvernoteでは検索構文どおりの結果が表示されません。
検索結果が表示されない検索構文のパターンとして、例えば、①というスタックの中のAというタグを含みBというタグは含まないノート、という検索構文や、②というノートブックのDというタグを含みDというタグを含まないノート、といった検索構文は正しく検索できません。
毎週使っていた検索構文だけに不便を感じています。
④タグで検索した結果の順番がよくわからない
特定のタグで検索してノートを表示させると何順で並んでいるのかよくわかりません。
ノートブック内であれば作成日や更新日、題名で並び替えができるのですが、タグでノート一覧を表示させた場合、並び替えができません。これは結構不便を感じています。
→ 改善されました。(2020/12/23追記)
⑤3Dタッチ(触覚タッチ)の機能がなくなった
これまでは、3D Touch (触覚タッチ)で新規ノートの作成や検索ができたのに、3D Touch (触覚タッチ)を活用した機能自体がなくなってしまいました。残念です。
⑥Webクリップでタグが選択できなくなった
これまでは、Webクリップをしたとき、ノートブックとタグが選択できましたが、タグが選択できなくなってしまいました。今後のアップデートで改善されるかもしれませんが残念です。
→ 改善されました。(2020/12/23追記)
⑦ヴィジットが非対応になった
これも今後のアップデートで改善されるかもしれませんが、ヴィジットが非対応になってしまいました。
⑧Apple Watchが非対応になった
これも一時的なことだと思いますが、Apple Watchの Evernoteアプリがなくなってしまいました。パワーアップして帰ってきてくれることを望みます。
⑨相変わらず実装されない機能がある(マージ機能・複数ノート処理)
もういい加減iOSアプリに実装してよ、とずっと思っている機能があります。ノートのマージ機能と、複数ノートを選択しての機能(例えば、複数のノートを他のノートブックに移動させる、タグを付与するなど)です。
今回はメジャーアップデートというだけに期待していたのですが、残念ながら実装されませんでした。今回実装されなかったということはこの先も期待できないのでは、と思わされました。
2 今後どう使っていくか
同期と起動の遅さは致命的です。
これまでEvernoteは、前述のとおり、同期と起動のスピードはどんどん改善されてきて、ストレスを感じないくらいまで向上しました。それ前提でEvernoteの使い方を構築していたため、今回のメジャーアップデートによる同期と起動の遅さは、残念でなりません。
私は以前の以下の記事で書いたとおりEvernote推しの考えです。
ただ、今回のアップデートにより、今後のEvernoteの使い方をいろいろ考えさせられました。
というのは、Evernoteは倉庫という位置づけで使っていたのですが、連載記事「今どきのEvernoteの使いみち」で書いたとおり、備忘録としても使っていて、瞬時にノートを見返したいときが多々あります。
それで、この同期と起動の遅さは使い勝手に大きな支障があります。さらに、iPhoneのEvernoteは、よく使うので起動しっぱなしということもあり割りに立ち上がりはストレスがないときもありますが、たまに使うiPadでは起動が遅く、さらに同期も遅い。
ひと昔前のEvernoteアプリに戻った感覚です。
これだと正直、Apple純正のメモアプリに乗り換えるか、という考えも出てきます。ただ、メモアプリは同期と起動は速いがApple Watchに対応していなかったり、タグがなかったりと不便はあります。
以前のEvernote並みの同期と起動のスピードにアップデートするまで待つしかないのか、頭の痛いところです。
とにかく、Evernoteは同期と起動の重さと遅さをずっと言われてきて、それに応えた形でのこれまでのEvernoteの進化だっただけに、今回はショックでなりません。
3 おわりに
Evernoteに求めるのは、まず第一は同期と起動の速さです。これまでずっと重くて遅かったのが、ここ数年のアップデートにより改善されていました。それだけに、今回のアップデートは、正直、あまりよい印象はありません。
これからのEvernoteに期待しています。
と、同時にApple純正のメモのApple Watch対応を待ち望んでいます。