あらゆる情報をどう整理しているのか。著者の手法を具体的に公開してくれている盛りだくさんの内容の本です。
前半は、「GTD」をベースに著者が提示する「アウトプット思考法」をもとにした情報整理です。
アウトプット思考法は、「書き出す」→「熟成」→「見直す」というシンプルで取り組みやすいフローです。
これを自分のインプットからアウトプットへのフローにどう活かしていくか、いろいろ考えさせられました。
後半は、iPad miniを活用したデジタル手帳の内容です。
著者がさまざまなアプリを試した結果にもとづいて実用的なデジタル手帳の活用法が紹介されていますので、デジタル手帳に興味がある方なら大いに参考になると思います。
以下、本文を引用しながら、私が印象に残った点や考えた内容を紹介します。
アイデアの正体は、インプットの蓄積から一定の期間を経て生まれる、新しい関連性の発見です。
「Web上の記事を読む」「本を読む」「資料を読み漁る」という行為は、どれもインプットだが、それだけでは関連性は生まれてこない。そこから能動的に「気づき」や「学び」をアウトプットすることで、はじめて関連性が芽生える余地が生まれる。アウトプットは、特に深い内容である必要はない。まずは、見聞きした内容に対して、自分なりの考えや視点をアウトプットする。
「インプットなくしてアウトプットはない」と再認識しました。
アウトプットが進まないときの原因の1つはインプットが足りていないのかもしれません。
ある程度、インプットが進めば、「これ、言いたい」「みんなに聞いてほしい」という気持ちが出てくるものです。そうなれば自然とアウトプットしたくなりますからね。
また、「新しい関連性の発見」というのは、情報整理において、見逃せない点です。
これには2つのアプローチがあると再認識しました。
1つは、インプットから「気づき」や「学び」をアウトプットすること。
もう1つは、新しい関連性の発見がしやすい情報整理の仕組みを構築すること。
著者の場合は、1つ目はブログ、2つ目は「Scrapbox」なんだと思います。
私は、1つ目はブログとkindle本の出版、2つ目は今試行的に使い始めている「Obsidian」になりそうです。
Web上の情報 →Pocket
本や資料など →Scrapbox、Evernote
タスクややることリスト →Todoist → Googleカレンダー
メモや手帳など →Evernote、GoodNotes5
アイデアなど →紙copi、Scrapbox
文章など →Googleドキュメント、紙copi
これは著者の情報整理の全体像です。
情報整理においては「情報は1箇所に集めるのがよい」と言われることがありますが、著者はあえて1箇所に集めていません。
私は、Evernote全盛のときは、1箇所に集めることにやっきになっていましたが、今はそこまでこだわっていません。1箇所に集めることのメリットよりもデメリットの方が大きくなってきたからです。
大事なのは、情報を収集する目的と、その目的を達成するための適切なツールを選ぶ、ということだと思います。
アウトプット思考法で述べた「書き出す」「見直す」というサイクルは、情報を投げっぱなしにしないことを意味している。情報の庭師というのが、とても言い得て妙だと思うのは、そういう一連のサイクルを行わないと、情報を死蔵させてしまうという点だ。
情報は、「書き出し」と「見直し」を繰り返すことで本当に使える情報になる、ということだと思います。
これは、これからの「情報整理術」の大事なポイントです。
情報整理の仕組みやフローを考える上では、外せない視点だと思います。
ブログ「情報管理LOG」を愛読している私としては、それほど真新しい情報があったわけではありませんが、同ブログで紹介されている情報管理の本質的な内容が体系的にまとめられていましたので、理解が深まりました。
情報整理やデジタル手帳に興味があれば、ぜひ、ご一読ください。