はじめに
Obsidianは2020年5月にリリースされ、2022年10月にバージョン1.0.0がリリースされました。
私は2021年11月にObsidianを初めて使い始め、途中、Scrapbox(現Cosense)に乗り換えたり戻ったりを繰り返し、現在はObsidianを使い続けています。
3年経った今、その使い方(使いみち)を振り返り、これからObsidianを始めようと思っている方や現ユーザーの方の役に立てればと思い記事にしました。
私はObsidianを仕事と趣味活動に使っていますが、本記事では趣味活動での使い方について紹介しています。
1 Obsidianを使う目的
まず、Obsidianを具体的にどのように使っているかを紹介する前にObsidianを使う目的から説明します。そんな堅苦しい内容を読みたくない!と思われたかもしれません。
でもちょっと待ってください。
これ結構重要です。
そのためには使う目的を言語化しておいた方がいいのです。
私がObsidianを使う目的は「知的生産」生活を送るためです。
知的生産とはいろいろ定義がありますが、私にとっての知的生産は次の2つです。
- インプット(読書、映画・ドラマの視聴)
- アウトプット(電子書籍の出版、ブログの運営、思考の整理)
詳細は後述しますが、インプットに関連した内容としては、読書ノートなどです。アウトプットに関連した内容としては、特に着想メモの管理を重視しています。電子書籍やブログのテーマを導き出すためのアイデアです。突き詰めると、これを導き出すのがObsidianを使う一番の目的と言えます。
そのために後述の知識メモをObsidianに保存しています。というのは、Obsidianは関連したノート同士を結びつけるのが得意だからです。着想メモと知識メモが結びついて思いもよらぬアイデアやテーマを思いつくことを期待しています。
これについては、本にまとめていますので、ご興味があれば以下の拙著をご覧ください。
2 Obsidianを使うにあたってのコンセプト
Obsidianを使うにあたり目的だけではなくコンセプトも言語化しています。ここでいうコンセプトとはObsidianを使うための姿勢みたいなイメージです。
まず一言でいうと
「自分の日々の考えは全てObsidianにある」
です。
そのために次の3つを意識しています。
(1)積極的に書き留める
先ほど着想メモの管理を重視していると言いましたが、そのためには漠然とした思考でも積極的にObsidianに書き留めることが必要です。漠然とした考えでも書いているうちに思考が整理されてくることもよくあります。なので積極的に書き留めることを意識しています。
(2)自分の言葉で書く
積極的に書き留めるとは、なるべく自分の言葉で書くという意味も含んでいます。単なる情報の貼り付けではなく、いったん自分の頭を通して、自分の言葉で表現した内容をObsidianに保存する姿勢です。これは疲れますが、間違いなく後で活かしやすくなります。
(3)丁寧に書く
着想メモは、いわゆる走り書きになりがちです。書き留めた直後はそれでもよいのですが、そのままだと後で見返したときに何を意味しているのかわからないこともあります。
Obsidianに保存するということは、前述したとおり、情報の結びつきを期待しているので、数年後にひょっこり目の前に現れるメモになるかもしれません。よって、メモした直後は仮に走り書きだったとしても必ず肉付けして後で見返してもわかるようにしています。1年後の自分が見返してもわかるように丁寧に書くことを意識しています。
3 Obsidianに保存している内容
少し抽象的な内容が続きましたが、ここからは具体的に何をObsidianに保存しているかを紹介していきます。大きく分けると次の5つに分類できます。
(1)読書ノート
まずは読書ノート。これが一番わかりやすいと思います。詳細は先ほど紹介した拙著『読書を自分に活かす「つながる読書ノート」の作り方』をご覧いただく方が早いのですが、実際のノートをお見せするとこんな感じで作っています。
書影や著者名などの書籍情報は、Amazonのページから自動的に取り込むツールを使っています。詳細は先の拙著に記しましたがブックマークレットを使っています。実は「Search Book」というコミュニティプラグインでも書影などをGoogle Bookのページから取り込むことができるのですが、なぜか私はエラーが表示され使えません。
また、「Kindle Highlights」というKindleでハイライトした箇所を取り込むプラグインもあるのですが、私は使っていません。先の拙著で紹介したとおり別のツールを使っています。
さらに、Obsidianには読書ノートを一覧にしたノートも保存しています。
タイトルのリンクを押すと、それぞれの本の読書ノートに移動することができます。こうして一覧にしておくと読書ノートを振り返るときに効率的です。
あと、数は多くありませが、印象に残った映画やドラマの視聴ノートも保存しています。
(2)着想メモ
着想メモは、主に電子書籍(Kindle出版)のテーマやブログのネタになりそうなメモです。
私の発信テーマが「iPhoneとiPadでのインプットとアウトプットの効率的な方法の探求」なので、それに関連した内容です。理想は、これらのメモが結びついて電子書籍のテーマが浮かび上がってくることですが、そう簡単にはいかないものです。
着想メモは、瞬時に書き留めたいため、まずはDraftsというアプリで書いています。Obsidianよりも起動が速く、Apple Watchでも使えるからです。また、Draftsで一旦書き留めた後は、簡単にObsidianにデータを移動できるので重宝しています。これらの実際の使い方やメリットは以下の拙著でまとめています。
(3)発信物
発信物とは、外部に公開する(した)内容という意味です。
一番多いのはブログと電子書籍の原稿です。
着想メモを元にブログの原稿もObsidianで書いています。以前はUlyssesというエディタアプリを使っていたのですが、着想メモからそのまま原稿を書いた方が効率的なのでObsidianで書くようになりました。
また、完成した原稿がそのままObsidianに残るので、それを他のノートとリンクで関連づけたりと活用の幅が拡がることを期待できます。
WordPressへの投稿は「WordPress」というプラグインを使えばObsidianのノートから簡単にできます。
電子書籍(Kindle出版)の原稿もObsidianで書いています。こちらも以前はUlyssesで書いていたのですが、Obsidianのアウトラインの機能の方が便利なのでUlyssesから乗り換えました。具体的には、少し細かな話ですが、Ulyssesはアウトライン(見出し)の表示が全文表示されず不便に感じていました(iPadの場合)。Obsidianは全文が表示されドラッグで入れ替えることができます。
ちなみに、どちらも試行的にObsidianで書いていて、今後、完全にUlyssesから乗り換えるかはまだわかりません。
電子書籍とブログの原稿以外にもnoteの原稿やX(旧Twitter)のポストもObsidianで作成してそのまま保存しています。
(4)知識ノート
主に読書から得た知識をメモしたノートです。
読書ノートを作っているときに切り出したノートが多いです。なぜわざわざ切り出しているかというと、読書ノートの中に埋もれていると、他で使いづらいからです。切り出して1つのノートにしておくと他のノートとリンクさせやすくなり活用の幅が拡がるのです。
先ほどの読書ノートもそうですが、知識ノートは「日本十進分類法」をもとにタグで整理しています。「日本十進分類法」とは、図書館で見かける、例えば、「100 哲学」「200 歴史」といった数字で分類する分類方法です。
詳細は以前記事にしましたのでご参照ください。
(5)思考メモ
前述した着想メモと似ていますが、こちらは漠然とした考えを整理するためのメモです。着想メモは、ある程度、電子書籍やブログ、Xのポストなどに活かせそうなメモですが、こちらはどうなるかわからないメモです。
メモしているうちに着想メモになるかもしれませんし何にも活用されないこともあります。
要は、行き場のない思考をまず受け止める場所です。直感的に思いついたことであれば、まずは起動スピードが速いDraftsに書きます。それをObsidianに移し、そこに思いつくままに追記していきます。これについて考えたい、ということがあれば、いきなりObsidianで書き始めることもあります。
書いていることで考えが整理されていくことがあります。とくにObsidianはダブルブラケットで囲むと、コミュニティプラグインの2HopLinksPlusにより関連ノートを表示してくれることがありますので、思考が深まったり整理されるきっかけになることもあります。
4 Obsidianのフォルダ構成
Obsidianのフォルダ構成はシンプルにしています。フォルダは4つです。
Templateは、コミュニティプラグインの「Templater」用、「Attachment」はノートの添付データが自動的に保存されるところなので、実質、フォルダは「inbox」と「Note」の2つしかありません。
あえて極限までシンプルにしました。
その知見を活かし、作成中(考え中)のノートは「inbox」、それ以外は「Note」というシンプルなルールにしています。 inboxを見れば、自分が何に取りかかればよいかわかるというわけです。よって inboxは折りたたまず常に表示させています。
ノートの整理にはタグとブックマークを使っています。タグは、以下のとおり、結構たくさん作っていますが、タグからノートにアクセスすることはそれほど多くはありません。ブックマークからアクセスするかキーワード検索することの方が多いです。
よく使うノートはブックマークで整理しています。
5 他のアプリとの使い分け
以上でObsidianで何を保存しているか説明しましたが、あわせてObsidian以外のアプリの使い分けを紹介します。
Obsidian以外に使っているノートアプリは、前述のDraftsとAppleの純正メモアプリです。
Drafts
Agile Tortoise無料posted withアプリーチ
メモ
Apple無料posted withアプリーチ
使い分けとしては、Draftsはメモの入り口。Apple純正メモアプリは知的生産に関係しない備忘録と、家族(家)に関連するノートを保存しています。
実は、先日、自分に関するメモは全部Obsidianにしようかと思い、新たに使い始めたクリーニング屋の営業時間をObsidianにメモしたんですが、なんか違和感があったんですよね。やっぱりどう考えても知的生産に結びつかないような備忘録をObsidianに保存するのはやめました。
よってメモの保存先の考え方はこうです。
- 知的生産に関するメモ→Obsidian
- 上記以外の備忘録と家族(家)関係→ Apple純正メモアプリ
他、ノートアプリ以外でいうと、タスクは「TickTick」、スケジュールは「Googleカレンダー」を使っています。
以前、以下の拙著で情報管理の全体像を紹介したことがありますが、その頃に比べるとかなりシンプルになりました。
おわりに
Obsidianの使い方は、ずっとObsidianのノート内に自分のメモとして保存してあったので、いつかは記事にしたいと思っていました。
ただ、結構、時間がかかりそうだったので、モチベーションが上がらず、ずっと先延ばしになっていました。
先日、mixi2を始め、ObsidianのコミュニティでObsidianを何に使っているかというテーマがあり、他の人の使い方を見るのは面白かったので、自分もしっかりまとめておきシェアしようと思ったのです。
以上ここまで10,000文字を超える長文になってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。ぜひあなたのObsidianの使い方も教えてください。Xやmixi2で発信していただけると嬉しいです。
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