拙著『kindle出版のメイキング 〜ネタの収集から出稿までの全工程を公開〜』では、日々のネタの収集から本のテーマ決め、本文の執筆などについて、実際の手順を画面を交えて紹介しました。
できる限りリアルな形で実際の手順を公開したつもりでしたが、十分に言い尽くせなかった点があります。また、わかりやすさを重視したため、少しデフォルメし過ぎ、しっかりと本質が伝わったか、いささか自信がないところもあります。
ちなみに、私のメイキングの過程は、同時期に出版された著書『書くためのアウトライン・プロセッシング アウトライナーで発想を文章にする技術』で述べられている「簡易的な書くためのアウトライン・プロセッシング」のアプローチと本質的には同じことをしていると感じました。
そこで、同書を取り上げながら説明したいと思います。
なお、もっと深く書くためのアウトライン・プロセッシングについて深くお知りになりたい場合は同書を一読することをオススメします。
1 ネタの収集
拙著『kindle出版のメイキング 〜ネタの収集から出稿までの全工程を公開〜』では、すぐにメモすることの重要性を強調しました。
少しでも「伝えたい」「知ってほしい」と思ったら、その情報には何らかの価値があるかもしれません。だから、すぐにメモ。
これらのメモは、すぐにメモできるDraftsで書き留め、アウトライナーのDynalistに保存しています。
Drafts
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Dynalist
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これは、前述の著書『書くためのアウトライン・プロセッシング』で紹介されている簡易版の書くためのアウトライン・プロセッシングの「素材のタイムライン」を作っていることと本質的には同じです。
同書の「簡易的な書くためのアウトライン・プロセッシング」では、先にテーマを決め、そのテーマにもとづいてフリーライティングしながら素材を集めています。
最上位階層についてフリーライティングします。使えるか使えないかは考えず思いついたことを書いていきますが、脱線はなるべく避け、最上位階層に関係のあることを書くようにします。目的は新しい発想を形にすることではなく、最上位階層について頭にあることをいったん外に出すことです。
先にテーマを決める点は、拙著で紹介したメイキングとは少し異なりますが、日々のネタの収集は、次項の過程を考えると、まさにこの「素材のタイムライン」づくりをしているのだと思います。
2 本のテーマ決め
その後、『書くためのアウトライン・プロセッシング』では「素材のアウトライン」を作ります。
「素材のタイムライン」を読み返しながら、内容のまとまりごとに見出しを立てます。整理したり分類したりせず、見出しを立てることに集中します。
拙著では、日々収集したネタのストックから、Dynalistで類似したものを固め、並び替えながら、ボトムアップ的に本のテーマを決め、内容の骨子を固めていくことを紹介しましたが、この「素材のアウトライン」を作ることに似ています。
3 本の構成
次に同書では、『書くためのアウトライン・プロセッシング』の「文章のアウトライン」を作ります。
「素材のアウトライン」を参照しながらトップダウンで「文章のアウトライン」を作ります。
拙著でも、ネタをもとに設定したテーマにそってトップダウン的に骨子(アウトライン)を作っていく方法を紹介しました。
次に、『書くためのアウトライン・プロセッシング』の「簡易的な書くためのアウトライン・プロセッシング」では、「文章のアウトライン」に素材を振り分け、「文章のアウトライン」をシェイクする、という手順に移ります。
アウトライナーでトップダウン思考とボトムアップ思考を繰り返すこと
拙著では、並び替えや階層化によって思考を深め、骨子を組み立てていく流れを紹介しましたが、これはまさに「シェイク」です。
順番を入れ替えながらあーでもない、こーでもないと、手を動かしながら考えます。ネタを統合した方がよければ、1つにまとめます。逆に、分割した方がよければ、複数に分割します。
あわせて、階層化していきます。大きなくくりでくくれそうなものは、見出しをつけてくくっていきます。これが、最終的には本の章や項になっていきます。
私は、アウトライナーを使う最大の利点が、この「シェイク」だと思っています。
トップダウン思考とボトムアップ思考を繰り返すのは、アウトライナーでなくてもできるかもしれませんが、目的が本の目次(骨子)の作成となれば、アウトライナーが最適だと思います。
4 まとめ
拙著『kindle出版のメイキング 〜ネタの収集から出稿までの全工程を公開〜』でも紹介したとおり、ネタの収集から本のテーマ設定においては、次の点が重要です。
伝えたい、知ってほしいと思った思いつきのメモをすぐに書き留めるツールがあるか。
そして、その思いつきのメモを整理し、膨らませ、kindle本のテーマに昇華させる仕組みを持っているか
この2つ目の仕組みについては、今回紹介した『書くためのアウトライン・プロセッシング』が大いに参考になると思いますので、拙著とあわせてご覧いただけるとkindle本の執筆がはかどると思います。